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免震装置・耐震偽装について

執筆者の写真: misimamisima

 耐震偽装が大きくわが国の信頼性を損ねている。報道によれば聞く耐えない。災難である。その建物に関係する人のみならず、社会の信頼性を損ねたことが大きく、実際に損なわれた安全性よりはるかに問題の根は深い。


 ただ、これらは分ける必要があり、責任追及は不正を行った行為者に厳罰を求めるなどしてもらいたいが、これらの装置を付けた耐震性能については冷静な報道を求めたい。

   

 というのは、耐震技術は、例えば未来の不確実な現象に対しての対処法を不確実な数値化により定めているものに過ぎないとも言える。この不正によっていたずらに大きく危険性が増加したとは言うのは少し考え者である。それどころか、誤った風評につながりかねない。極端な例では、基準値の考え方を、その考え方を替えるだけでそもそも問題ない数値となる場合もあるのである。単に基準値と書き直しただけの偽装であるなら、そういうものである。


 写真は免震の積層ゴム。これは私の設計した免震マンションの免震装置。まだ初期のものである。ブリジストン製。当時と今と根本は変わらない。ただ多くの技術は塗り替えられている。たとえはこの装置は50年で取り替えることを前提に設置し、その取替えルートを備えているが、今はそうでもなく、逆に基準値が設けられて規則化している。よく考えてほしいのは、この技術はまだ耐久性能の実証の途中であるということ。同様にほとんどの技術はまだ検証されていない。これらが破壊されるほどの地震を経験していないからだ。だから当時、少なくとも50年という数値をもって取替えということにしたのである。

 未だにまだまだ解明にはほど遠い地震の発生メカニズムである。どのような地震が起こるかはわからない。そしてまだ被災したサンプルが少ない。このこととは少し趣旨は異なるけれども、冷静な評価と、その社会に対する影響力についてミズリードがないよう祈るものである。報道は真の意味を知らぬままセンセーショナルな話題として取り上げてるのは、報道の自殺につながるのではないかと思う。

子曰、君子諭於義、小人諭於利。


     (先生はおっしゃいました。君子は義に諭り、小人は利に諭ると。)




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